相続した実家や古い空き家を解体したあと、「建物がなくなったのだから、これで手続きは終わり」と思われることがあります。
しかし、現地から建物がなくなったことと、固定資産税上の家屋情報や法務局の登記記録から建物がなくなることは、それぞれ別です。
特に、県外に住みながら宇和島市周辺の実家を相続した場合などは、解体工事を業者へ依頼したあと、税務上の届出や登記の状態まで確認していないこともあります。
この記事では、空き家を解体したあとに何を確認しておきたいのか、固定資産税と建物の登記を分けて整理します。
空き家を解体したら、固定資産税と登記の両方を確認します
建物を解体したあとは、大きく分けて次の2つを確認します。
- 市区町村で扱われる固定資産税上の家屋の情報
- 法務局に記録されている建物の登記
この2つは同じものではありません。
たとえば、現地ではすでに建物がなくなっていても、法務局の登記記録にその建物が残っている場合があります。
固定資産税についても、解体した時期や市への届出状況などによって確認が必要になることがあります。
そのため、「解体工事が終わったから手続きもすべて終わった」と考えず、解体後に税務上の扱いと登記の状態を一度確認しておくことが大切です。
建物を壊すと固定資産税が上がることがあるのはなぜ?
今回参考にしたニュースでは、空き家の解体後に固定資産税が上がり、取り壊した建物に関する課税についても確認が必要になった事例が取り上げられています。
ここで注意したいのは、「家を壊したのに固定資産税が上がった」というだけでは、建物分が誤って課税されているとは限らないことです。
住宅用地には、一定の条件で固定資産税の課税標準を軽減する特例があります。宇和島市でも住宅用地に対する課税標準の特例を案内しており、住宅を取り壊すことで土地が住宅用地に該当しなくなった場合は、特例の適用状況が変わり、土地部分の税額が以前より高くなります。
参考:宇和島市「住宅用地に対する課税標準の特例」 参考記事
一方、すでに存在しない家屋について引き続き課税されているように見える場合には、解体した日や固定資産税の基準となる時点、市への届出状況などを確認する必要があります。
固定資産税の税額や還付の可否については、土地家屋調査士が判断するものではなく、市区町村の固定資産税担当部署へ確認する内容です。
宇和島市では、登記されている家屋を取り壊した場合は法務局で建物滅失登記を行い、未登記家屋を取り壊した場合や、登記のある建物でも滅失登記をしていない場合には、市へ「固定資産税家屋滅失届」を提出するよう案内しています。
参考:宇和島市「家屋を取り壊したとき」 参考記事
固定資産税から建物が消えても、登記が消えたとは限りません
ここは特に間違えやすいところです。
固定資産税の課税対象から建物が外れていることと、法務局の建物登記がなくなっていることは別です。
法務局に登記されている建物を全部取り壊した場合は、原則として建物滅失登記を行います。
建物滅失登記は、簡単にいえば、
「登記されているこの建物は、現在は存在していない」
という状態を登記記録へ反映する手続きです。
建物を実際に解体しただけで、法務局の登記記録が自動的に消えるわけではありません。
そのままにしていると、後になって土地を売却するときや、相続した不動産を整理するときに、
「現地には建物がないのに、登記には建物が残っている」
という状態が分かることがあります。
どんな建物でも建物滅失登記が必要になるの?
すべての解体建物について、同じ手続きになるわけではありません。
まず確認したいのは、その建物が法務局に登記されているかどうかです。
登記されている建物を全部取り壊した場合
法務局に登記されている建物を全部取り壊した場合は、原則として建物滅失登記を行います。
ただし、古い建物などでは、登記記録に記載されている建物と実際に取り壊した建物が一致しているか分かりにくいことがあります。
たとえば、長年の間に増築されていたり、同じ敷地内に母屋や倉庫など複数の建物があったりする場合です。
このようなときは、登記記録と現地の状況を確認し、どの建物がなくなったのかを整理してから手続きを進めます。
もともと未登記だった建物を取り壊した場合
古い住宅や物置などでは、固定資産税は課税されていても、法務局には建物が登記されていない場合があります。
この場合、消すべき建物登記そのものが存在しないため、通常の建物滅失登記とは扱いが異なります。
一方で、市区町村への家屋の滅失に関する届出などが必要になる場合があります。
宇和島市では、未登記家屋を取り壊した場合などについて「固定資産税家屋滅失届」の案内があります。
建物の一部だけを取り壊した場合
母屋の一部を取り壊した、増築部分だけを撤去した、附属建物だけを取り壊したといった場合には、単純に「建物全部の滅失」とならないことがあります。
登記されている建物の内容と、現在残っている建物を照らし合わせて判断します。
このようなケースでは、最初から必要な登記を決めつけず、登記記録と現地の状態を確認する方が整理しやすくなります。
相続した空き家を解体した場合は、名義も確認しておきます
相続した空き家では、もう一つ確認したい点があります。
それが、登記されている建物の名義です。
たとえば、親が亡くなったあと実家を相続し、その建物を解体したものの、建物の登記名義は亡くなった親のままだった、という場合があります。
建物がすでに存在しないからといって、登記名義を確認しなくてよいとは限りません。
登記名義人が亡くなっている場合は、相続人から建物滅失登記を申請することになり、被相続人の死亡や申請人が相続人であることを確認するための戸籍等が必要になります。
相続関係や必要となる確認資料は個々の状況によって異なるため、登記名義人が亡くなっている場合は、登記記録と相続関係を確認したうえで手続きを整理します。
参考:法務局「建物を取り壊した」 参考記事
特に、相続から長い期間が経過している場合や、相続人が複数いる場合は、早めに登記記録を確認しておくと、その後の整理を進めやすくなります。
県外に住んでいても、まず確認できることがあります
宇和島市周辺に実家や空き家があり、相続人が県外など遠方に住んでいるケースもあります。
その場合でも、最初から現地へ何度も来る必要があるとは限りません。
まずは手元にある資料から、
- 解体した建物の所在地
- 解体した時期
- 解体業者から受け取った書類
- 固定資産税の納税通知書
- 建物の登記があるかどうか
- 登記名義が誰になっているか
- 母屋だけでなく、倉庫や物置なども解体したか
といった内容を整理します。
資料がすべてそろっていなくても、現在分かっている情報から確認を始められる場合があります。
特に古い実家では、「母屋は登記されているが倉庫は未登記」「昔増築した部分が登記に反映されていない」といったように、現地と記録が単純に一致しないこともあります。
土地家屋調査士は、現地と登記を確認して建物滅失登記を扱います
土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記や、土地・建物の調査を専門としています。
空き家を解体した後であれば、
- 建物の登記が残っているか
- 登記されている建物と解体した建物が同じものか
- 建物全部がなくなったのか、一部が残っているのか
- 相続した建物の場合、登記名義や相続関係をどのように確認するか
- 建物滅失登記として扱う状況か
といった点を確認し、必要に応じて建物滅失登記の手続きを扱います。
土地家屋調査士は、建物表題登記や建物滅失登記、土地分筆登記など、不動産の「表示に関する登記」を扱う専門家です。
一方、固定資産税の税額計算や還付の可否については、市区町村の税務担当部署へ確認する内容です。
また、相続による所有権の名義変更など、権利に関する登記については司法書士が扱う分野となります。
参考:法務局「不動産登記の専門家」 参考記事
相続した不動産では複数の手続きが関係することがあるため、「どの専門家に何を相談すればよいか分からない」という段階でも、まず現在の状況を整理することが重要です。
解体後に確認しておきたいケース
次のような場合は、建物の登記記録を一度確認しておくとよいでしょう。
解体業者に任せたあと、登記について何も確認していない
解体工事と建物滅失登記は別の手続きです。
工事が終了していても、登記まで処理されているとは限りません。
相続した実家を解体した
亡くなった方の名義で建物登記が残っていることがあります。
解体後に土地を売却する予定がある場合などは、後になって建物登記が残っていることに気付くより、早めに確認しておく方が整理しやすくなります。
かなり昔に建物を壊した
何年も前に取り壊した建物の登記が残っているケースでは、解体時期や当時の資料が分からないことがあります。
資料が見つからないから手続きができないと決めつけず、登記記録や現地の状態、確認できる資料などから状況を整理します。
固定資産税には建物が載っていないので、登記も消えていると思っている
固定資産税上の家屋情報と、法務局の建物登記は別に確認する必要があります。
一方だけを見て判断せず、必要に応じて両方を確認しておくと、その後の売却や相続不動産の整理を進めやすくなります。
まとめ
空き家や古い実家を解体したあとには、建物が現地からなくなったことだけでなく、
固定資産税上の家屋情報と、法務局の建物登記の両方を確認することが大切です。
特に相続した建物では、
- 建物が登記されているか
- 誰の名義になっているか
- 現地に建物が残っていないか
- 全部解体したのか、一部だけなのか
によって、確認すべき内容が変わります。
兵頭栄次土地家屋調査士事務所では、宇和島市周辺を中心に、相続した建物や解体済み建物について、登記記録と現地の状況を確認するご相談をお受けしています。
県外にお住まいで、宇和島市周辺の実家を相続したものの、「解体後の登記がどうなっているか分からない」という場合も、まず分かっている範囲から状況を整理していきます。
引用元
- ニュースタイトル: “空き家を解体”したら、固定資産税が「年間10万円」も上がった! なぜか「壊した建物分」にも課税されてたけど“過大徴収”は返してもらえる?「存在しない建物分」が徴収される理由とは? 取り戻す手順も解説 (ファイナンシャルフィールド) – Yahoo!ニュース
- 発信元: Yahoo!ニュース
- URL: 参考記事
- 公開日: 2026年9月12日
